配当金をもらうには
配当金は権利確定日に注意
日本の証券会社を通じて中国株の売買をしている場合は、日本株と同様にその証券会社を通じて配当を受け取ることができます。ただ、権利確定日には注意が必要です。中国本土企業の決算日はほとんどが12月31日ですが、この日にはまだ権利は確定していません。その後の株主総会で最終的に権利確定日が決定するのです。したがって決算日をすぎたからといって権利付最終日以前に株を売ってしまうと権利が消滅してしまうので注意しましょう。
権利確定日、権利付最終日って何?
まず権利付最終日まで株を持っていれば配当を受ける権利が発生します。その翌営業日を権利落ち日といい、その日から株を購入しても配当を受ける権利はありません。権利確定日とはその日に株主名簿に記載されていればその権利が確定する日です。株を購入して株主名簿に記載されるまでには1〜数日のタイムラグがあるので、権利付最終日までに株を購入すれば権利確定日には株主名簿に記載されることになります。
権利確定日の例
権利付最終日 | 権利落ち日 | 権利確定日 | 配当支払日 |
4/28 | 4/29 | 4/30 | 6/21 |
中国本土市場は株主総会で決定
配当金の権利確定日についてもう少し詳しく見て行きます。日本であれば権利確定日は決算日であることが多いです。決算日が3月31日なら権利確定日も3月31日になります。一方上海、深セン市場に上場する企業の場合、決算日はほぼ12月31日ですが、権利確定日は12月31日ではありません。その後決算発表が行われ、さらにその後株主総会が開かれます。そこで配当の内容やスケジュールなどの配当予案が決定されます。
香港市場は決算発表で配当スケジュールが判明
香港市場の場合は決算日ののちに決算発表が行われ、その時点で配当スケジュールが発表される場合もありますが、後日発表される場合もあります。
中国株の配当金や売却益への税金
税金についてですが、上海・深セン・香港では、売却益や配当には税金がかかりません。しかしながら日本に居住している以上は日本の税法が適用されます。そもそも両方の国で税金がかかってしまうと二重課税となってしまいます。これを防ぐために相手国と租税条約を結び、どの国の居住者であるかということを基準にその国の税法のみを適用します。これにより二重課税を防ぐわけです。日本の居住者が中国や香港の株式を取引し、売却益や配当が発生した場合は日本の税法が適用され課税されることになります。
売却益(キャピタルゲイン)
売却益には一律20.315%の税金がかかります。損失が出た場合は日本株と同じように翌年以降の3年間で繰越控除することができます。税金の内訳は「所得税15%、住民税5%」です。2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間、追加で所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が課されることとなりました。15%に2.1%をかけると15.315%になるので、復興特別所得税を加味すると所得税率は15.315%となります。これに住民税の5%を足して合わせて20.315%が売却益にかかる税率です。
売却益は申告分離課税が適用されます。分離課税とは各種の所得を合計した総合所得とは別に集計され課税されるものです。
中国の現金配当への課税
配当金は現地(中国)で10%源泉徴収される
配当金への税率は売却益と同じ20.315%です。配当金の場合、中国本土株や香港市場のH株、レッドチップ株はさらに現地で10%の源泉徴収がされます。日本の税金は源泉徴収が引かれた金額に対して課されます。
2008年1月1日から「中華人民共和国企業所得税法」と「中華人民共和国企業所得税法実施条例」が施行され、海外法人への配当には10%課税されることになりました。個人であれば課税はされませんが、国内の証券会社は保管振替機構名義で株式名簿に登録されているので法人として扱われ、現地でも課税となります。したがって国内海外両方で課税されることになります。
香港株の7割近くは源泉徴収されない
課税対象となるのは中国本土A・B株と香港市場のH株、レッドチッブ銘柄の一部です。H株とは香港市場に上場していて登記が中国本土にある企業です。レッドチップとは中国本土の企業の香港法人などです。H株銘柄やレッドチップ銘柄は香港市場全体の3割ほどでそれ以外の銘柄は課税の対象では有りません。
10%の課税対象となる市場
中国本土 | 香港市場 |
A株 | B株 | H株 | レッドチップ | その他 |
対象 | 対象 | 対象 | 対象 | 対象外 |
申告には3つの方法がある
申告は申告不要制度か申告が必要な総合課税と申告分離課税の3つから選べます。申告不要制度は20.315%の税金が日本の証券会社から源泉徴収されてそれで終わりです。総合課税の場合は所得により所得税の税率が5〜45%と変化します。総合課税を選択すれば本来は配当控除が受けられるのですが、外国株の場合は適用されません。申告分離課税の場合は20.315%で固定です。さらに申告分離課税なら売却益との損益通算もできます。
| 確定申告しない | 確定申告をする |
申告不要制度 | 総合課税 | 申告分離課税 |
税率 | 20.315% | 所得税5〜45%、住民税10% | 20.315% |
損益通算 | - | - | 有り |
外国税額控除 | - | 有り |
外国税額控除とは
外国税額控除は二重課税を防ぐ目的で設けられたもので、外国にて源泉徴収された金額のうち限度額の範囲内で、その金額を所得税や住民税から差し引くものです。限度額の計算方法は以下の通りです。
その年分の所得税額 | × | その年分の国内所得総額 | = | 外国税額控除の限度額 |
その年分の所得総額 |
株式配当(株式分割)
日本では1991年の商法改正により、株式配当、無償増資などの個別の規定はなくなり、すべて株式分割に統一されました。中国では利益剰余金を原資とするものを株式配当、資本準備金を原資とするものを無償増資と分けています。日本ではどちらも非課税ですが、中国では株式配当には10%の税金がかかります。
日本 | 株式分割 |
非課税 |
中国 | 株式配当 | 無償増資 |
10%課税 | 非課税 |
有償増資と無償増資
有償増資
日本国内居住者は、国内証券取引法により、外国株式の有償増資に対して払込をすることができません。そのため有償増資の権利を売却してその代金を受け取ることになります。ただし市況によっては権利が売却できず、消滅することもあります。
無償増資
無償増資は所得税の課税対象になりません。
NISAで売却益や配当が非課税に
NISAとは少額投資非課税制度のことで、株式や投資信託の新規購入分に対し、その売却益や配当が非課税となる制度です。購入分の上限は年間120万円までで5年間は非課税となります。NISAを利用すれば株式の購入分が120万円分まではその売却や配当で発生した収益が非課税となります。NISAについては
NISAと中国株、2016年から年120万円にで詳しく解説しています。中国株でもNISAが使えるのは以下の4社です。
内藤証券
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楽天証券、
SBI証券
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マネックス証券