4大グループへの集約が進む
現在中国の航空業界では様々な航空会社の名前がみられますが、その多くは大手航空会社と資本提携を結んでグループを形成しています。その大手航空会社とは4大航空グループを形成している中国南方航空、中国東方航空、中国国際航空、海航集団の4社です。独立系の航空会社もいくつかありますがその規模は大手グループとは大きな開きがあります。
航空会社名だけではどのグループに所属しているのか、もしくは独立系なのかがよくわからないので、航空会社各社をグループごとに一覧にした以下の表を作成しました。
グループ | 企業名 | 資本関係 |
中国南方航空 | 中国南方航空 | 11,461万人(2016年世界第4位) |
アモイ航空 | 51%出資 旅客数2035万(2014年) |
河南航空 | 60%出資 |
珠海航空 | 60%出資 |
貴州航空 | 60%出資 |
重慶航空 | 60%出資 |
スワトウ航空 | 60%出資 |
中国東方航空 | 中国東方航空 | 10,174万人(2016年世界第7位) |
上海航空 | (2010年1月28日吸収合併) |
中国貨運航空 | 70%出資 |
中国連合航空 | 80%出資(上海航空が出資) |
上海国際貨運航空 | 55%出資(上海航空が出資) |
幸福航空 | 5%出資 |
中国国際航空 | 中国国際航空 | 9,661万人(2016年世界第10位) |
深セン航空 | 51%出資 |
コン鵬航空 | (深セン航空が51%出資) |
山東航空 | 22.8%出資 |
大連航空 | 80%出資 |
マカオ航空 | 81%出資 |
中国国際貨運航空 | 51%出資 |
キャセイパシフィック | 29.99%出資(中国国際に18.1%出資) |
海航集団 | 海南航空 | 4,628万人 |
香港航空 | 100%出資 |
天津航空 | (海航集団83.15%、海南航空1.47%出資) |
祥鵬航空 | 99%出資 |
中国西部航空 | (海航集団65%、祥鵬航空35%出資) |
北京首都航空 | 70%出資 |
福州航空 | 60%出資 |
格安航空 | 春秋航空 | |
その他 | 吉祥航空 | |
華夏航空 | |
奥凱航空 | |
中国飛龍専業航空 | |
英安航空 | |
中信通用航空 | |
西蔵航空 | |
大手航空会社のこれまでの成り立ち
もともと中国は新中国が発足した1949年以降、航空事業の経営も管理・監督業務もすべて中国民用航空総局(CAAC)が行ってきました。これが1988年に見直され、中国民用航空総局(CAAC)は管理・監督業務のみに専念することになり、航空事業の経営は中国国際航空、中国南方航空、中国東方航空の3社へと分割されることになりました。こうして1988年に中国国際航空と中国東方航空が、1991年に中国南方航空が発足しました。
中国国際航空は北京管理局と国際線の業務を引き継ぎ、中国東方航空は上海管理局の業務を、中国南方航空は広州管理局の業務を引き継いで発足しています。
主要航空会社の業績について
■中国国際航空(2016年) |
売上高 | 1,151億元 |
純利益 | 68億元 |
旅客運輸量 | 9,661万人 |
所有機体数 | 623機 |
航空連合 | スターアライアンス |
中国のフラッグシップで旅客数は南方、東方に次ぐ中国国内3位の規模です。世界で見ると10位にランクインしています。中国国際航空は香港のフラッグシップであるキャセイパシフィックと相互出資関係に有ります。キャセイパシフィックの旅客数は2016年度で3432万人です。
■中国東方航空(2016年) |
売上高 | 985億元 |
純利益 | 45億元 |
旅客運輸量 | 10,174万人 |
所有機体数 | 596機 |
航空連合 | スカイチーム |
中国東方航空は国内2位の航空会社で世界でも7位の規模の旅客数を取り扱います。旅客数世界3位の1億3884万人を誇るアメリカのデルタ航空から2015年7月28日に出資を受けることも発表されました。出資額は4億5000万ドルで、これによりデルタ航空は中国東方航空の3.55%の株式を取得することになります。また中国旅行サイト大手のシートリップも2016/7/7に中国東方航空に30億元(約450億円)を出資して3.22%の株式を取得しています。
■中国南方航空(2016年) |
売上高 | 1,149億元 |
純利益 | 58億元 |
旅客運輸量 | 1億1461万人 |
所有機体数 | 700機 |
航空連合 | スカイチーム |
中国南方航空は旅客運輸量が1億人を超えアジアで最大、世界でも4位の規模の航空会社です。南方航空は旅客数2014万人と中国有数の航空会社である厦門(アモイ)航空の株式を51%保有して傘下に加えています。2017年3月には世界最大の旅客数を誇るアメリカン航空から2億ドルの出資を受け入れることを発表しています。中国東方航空に続いて世界の大手同士の提携として注目されています。
■海南航空(2016年) |
売上高 | 406億元 |
純利益 | 34億元 |
旅客運輸量 | 4628万人 |
所有機体数 | 238機 |
航空連合 | 未所属 |
創業は1993年。海航集団は海南航空を中心とした航空グループで、従来の3大航空グループである中国南方航空、中国東方航空、中国国際航空に次ぐ4位の集団として注目されている企業グループです。旅客数は海南航空単体では4628万人ですが、海航集団全体では約8300万人の旅客数を誇り、3代航空グループに肩を並べる規模になっています。
■春秋航空(2016年) |
売上高 | 84億元 |
純利益 | 9億元 |
旅客運輸量 | 1422万人 |
所有機体数 | 66機 |
航空連合 | 未所属 |
大手航空会社以外に格安航空で急成長している春秋航空についても見て行くことにします。民間資本で発足した中国初の航空会社で創業は2004年と比較的新しい航空会社です。日本市場への進出にも積極的で2015年10月28日には日本国内でのホテル事業への参入も発表しています。
世界の航空会社のランキング
以下の表は旅客数が多い世界の航空会社の上位5位までのランキングです。中国国内最大の中国南方航空とも資本提携したアメリカン航空は旅客数で世界ナンバーワンの航空会社です。同社は2015年に世界11位の旅客数規模を誇るUSエアウインズと合併してアメリカの航空会社で3位から1位になった企業です。2位は同じくアメリカのサウスウェスト航空で、3位もアメリカのデルタ航空です。そして4位に中国南方航空が来ます。5位のライアンエアーはアイルランドに拠点を構える格安航空会社です。ちなみに中国東方航空は世界7位に、中国国際航空は世界10位に位置しています。日本のANAは世界第14位の規模です。
世界の航空会社の旅客数トップ5
会社名 | 旅客数 | 国 |
アメリカン航空 | 1.46億人 | アメリカ |
サウスウェスト航空 | 1.44億人 | アメリカ |
デルタ航空 | 1.38億人 | アメリカ |
中国南方航空 | 1.09億人 | 中国 |
ライアンエアー | 1.01億人 | アイルランド |
中国の航空会社のランキング
中国の航空会社を旅客数で見た場合、中国国際航空が所属する中航集団と中国南方航空が所属する南航集団がともに1位で、次いで中国東方航空が所属する東航集団が3位、海航集団が4位となっています。この4グループだけで全体の85%を占めています。残りの航空会社全部を合わせても15%ほどにしかなりません。中国国内でいかにこの4グループの存在が大きいかがわかるかと思います。
中国の航空会社の旅客数とシェア
会社名 | 旅客数 | シェア |
中航集団 | 1.15億人 | 23.5% |
南航集団 | 1.15億人 | 23.5% |
東航集団 | 1.02億人 | 21% |
海航集団 | 0.83億人 | 17% |
その他航空会社 | 0.73億人 | 15% |
全体 | 4.88億人 | 100% |
航空連合への所属
航空会社は世界的に連合を組み、コードシェア便やマイレージサービスの相互乗り入れなど連合内での利便性の向上を図っています。世界的にはスターアライアンス、ワンワールド、スカイチームの大きく3つの連合があります。中国東方航空と中国南方航空はスカイチームに、中国国際航空はスターアライアンスに所属しています。海南航空はワンワールドへの所属が予想されていましたが、現在はどこにも所属していません。
ちなみに日本の航空会社では全日空がスターアライアンスに、日本航空がワンワールドに所属しています。
今後の動向について
こうしてみると大手航空会社の下にたくさんの航空会社が並んでいるのがわかります。名前は違うけど同じグループというのは正直利用する側にたってみるとわかりづらさが目立ちます。同じ企業グループなら名称も統一してくれればわかりやすいのにという気持ちも抱いてしまいますが、過去に子会社として存在していて、その後親会社に吸収された例も数多くあるので、今後もそうした形で再編されることは十分考えられます。現状でもつぎから次に新規参入が続く航空業界ですが、大手の資本参入による影響を回避し、海航集団に次ぐ第5グループを形成する企業がでてくるかどうかもみものでしょう。
各航空会社の上場している市場
航空大手4社の上場市場
成長著しい中国の航空会社各社ですが、日本からでもこうした企業の株式を購入することは可能なのでしょうか。まずそれを知るには各航空会社が株式を上場している市場について調べる必要があります。そこで大手航空会社がどの市場に上場しているのかを調査しました。
まずは中国航空会社大手3社とそれに次ぐ海航集団について調べてみました。中国航空集団の中核企業の中国国際航空は香港のH株と上海のA株に上場しています。同様に南航集団の中核企業の中国南方航空と、東航集団の中核企業の中国東方航空も香港H株と上海A株に上場しています。
海航集団の中核企業の海南航空は香港には上場しておらず、上海のA株とB株に上場しています。
会社名 | 香港市場 | 上海市場 | 深セン市場 |
中国国際航空 | H株(00753) | A株(601111) | |
中国南方航空 | H株(01055) | A株(600029) | |
中国東方航空 | H株(00670) | A株(600115) | |
海南航空 | | A株(600221)、B株(900945) | |
春秋航空と吉祥航空の上場市場
次に中国の大手格安航空会社(LCC)の春秋航空と新興の航空会社上海吉祥航空について調べました。吉祥航空は2005年創業の新興の航空会社で、今では日本各地にも便を構えています。春秋航空も上海吉祥航空もどちらも上海A株に上場しています。
会社名 | 香港市場 | 上海市場 | 深セン市場 |
春秋航空 | | A株(601021) | |
上海吉祥航空 | | A株(600893) | |
中国の航空会社の株式を購入する方法
中国の航空会社の多くは香港市場と上海市場に上場していることがわかりました。こうした航空会社の株式を買いたいならその市場の銘柄を取り扱う証券会社に口座を開設して、取引を行うといいです。上海A株市場や香港H株市場のどちらも取り扱っていて、しかも取り扱い銘柄数が多いのは内藤証券です。
中には海南航空や春秋航空、上海吉祥航空のように上海市場でしか上場していない銘柄もあるので、上海A株、香港H株のどちらの市場にも対応している証券会社を選ぶなら内藤証券がおすすめです。
香港市場だけでなく上海、深センなどの中国本土市場も取引したいなら内藤証券がおすすめです。手数料もお得で本土B株だけでなくA株市場もネットで取引できます。特定口座は香港株、中国本土株どちらにも対応しています。
内藤証券
取扱銘柄数は香港市場は内藤証券が2000銘柄ほど、楽天証券は600銘柄ほど、上海A株は内藤証券が800銘柄ほど、楽天証券が250銘柄ほどと銘柄数に開きはありますが、手数料は楽天証券は内藤証券よりもお得です。どちらも口座開設や年会費は無料なので、両方に口座を開設しておき、欲しい銘柄が楽天証券で取り扱っている場合は楽天証券で取引するというように使い分けてもいいでしょう。
香港市場と上海A株市場での取引に対応しています。手数料は業界最低水準です。取り扱い銘柄数は内藤証券と比べると見劣りします。特定口座は香港株・上海株どちらにも対応しています。
楽天証券